ひらりひとひら

ガラス

ひらりひとひら、風になびいて
掴み取ろうとふと手を伸ばせば、風に乗ってひらひら舞って、空で遊んで何処かに行って

寂しさ振り切る為に空を仰げば、いつの間にか肩にひらりと
優しい残り香そっと振り撒き、また風に乗って宙で回って

ひらり舞う姿がなんだか愛おしくて、ちょっと参ってしまって

始まりがないから終わりもなくて、それは少し歪で曖昧で
今もどこかの風に乗って、人を笑顔にしている様はとても微笑ましくて
遠く離れた場所から見えるその姿も、その淡い色がとてもキレイで

その淡くて優しい色を見るこの目が濁ってしまう前に
目を閉じて淡い夢にする

「またいつか何処かで」は口には出さずにグッと噤んで
「住む世界が違うんだよ」と定型分で納得させて
「もしかしたら」の狡い気持ちはグッと殺して

自分を刺したら痛みで目が覚めるかもと、刺したら刺したでただ痛みしかなくて
ちくりちくりと消えない痛み、瘡蓋剥がしてむすんでひらいて

想いと辛さの二律背反、はみ出した夢だったけど
辛ささえも残り香の一部

それでも思い出すのは優しい笑顔と可愛い仕草
ひらりひらりと髪なびかせて、小さく座る姿が愛おしかった

残り香が消える頃に涙を拭って、ひらりひとひら
のしかかる夜の重さを抜けて、ひらりひとひら

花より儚く、花より美しく
ひらりひとひら ひらりひとひら

数えきれないほど咲いた想いは、思い出の中にひらりひとひら

ひとひらひとひら想い重ねて

ひらりひらりとひらりひとひら

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