ガラスとダメ人間

ガラス

ボクは愛知県の名古屋市で生まれ、幼稚園児の頃の記憶は幼稚園ではブロックか油粘土を使って友達と飛行機やロボットを作り、家に帰ってからは幼稚園で作ったものをさらにバージョンアップさせたものを作る という毎日。

 
昔から運動が苦手で足が早いなんて褒められることはなかったですが、何かを作ったり絵を描いたりすることは好きで、それを褒めてもらうのが嬉しくて毎日何か手を動かしていました。
 
幼稚園の友達や先生、両親がボクの初めての作品を見てもらう相手だったと記憶しています。
 
小・中・高 と基本的には幼稚園の頃と変わらぬ生活をし、高校を選ぶときは「普通」が嫌だからというだけの理由で工業高校のデザイン科を選び、常に何かしら作っていました。
 
ガラスに出会ってからはや18年。
ガラスに初めて出会ったのは大学の授業で、全く思い通りにいきませんでした。
幼稚園〜高校まで「手先が器用な子」で通っていたボクの、少しばかり高くなっていた鼻はガラスに見事にへし折られてしまい、なんとかこの思い通りにならないガラスを自分の思い通りに動かしたい!と悔しさだけが残った初めての出会いでした。
 
 
それからというもの、先生や先輩のように思った通りにガラスを扱えない。この事実をなんとか払拭するために必死に溶けたガラスを扱う練習しました。
同級生に中で一番上手く、先輩の誰よりも上手く、先生よりも上手く、誰よりもガラスをうまく扱いたい。
自分の欲求はどんどんエスカレートしていきました。それと共にどんどんガラスにのめり込んでいきました。
 
 
ガラスにのめり込んだ大学での4年間はあっという間で、ガラスを触っていたことと、少しの恋愛の悩み以外はほとんど記憶にありませんが、一番悔しかったことだけははっきりと覚えています。
 
バイト先でのお客さんに「大人になってもガラスなんてできるわけがないだろう。それは趣味で続けて、どんな仕事に就くのか考えたら?」と言われたことです。
初めて夢を語る事を笑い、夢に挑戦する事を叩いてくる大人に出会った瞬間でした。
それと同時に、初めて大人の世界には「夢と現実」というものがある ということを突きつけられた瞬間でした。
 
 
当時から今まで、【夢を語ること】【夢に挑戦すること】の何がいけないことなのか未だにわかりません。
幼稚な考えだと笑われるかもしれませんが【夢は現実にしてしまえばいい】と今でも真剣に思っています。
 
 
大学生の頃、初めて溶けたガラスを色々な形に変えていく先生のまるで魔法のような手さばきに憧れて、こんな風にガラスを扱える人にボクもなりたい。
そう思って今まで生きてきました。
 
 
食費を削ってガラスを買い、友達と遊ぶ時間を減らしてガラスを触り、彼女のことを放ったらかしにしてガラスのことを考える。
かっこよく言うと【夢のために全てを投げうって】
ホントの事を言うと【全て自分の思うがままに、自分勝手に】生きながら自分の夢をただ現実にするためだけに生きています。
自分のためだけに生きているダメ人間です。
 
 
ボクが憧れた先生はとても楽しそうにガラスを触って、こんな人にボクもなりたいと強く思いましたが、今でも全然そんな風になれていません。
ボクがかつて「先生のようになりたい」とガラスの道に入ったように、ボクもいつか「こんな風になりたい」と誰かに思ってもらえるような、そんな人になりたい。
それがダメ人間の夢です。
そしてかつてのボクのように夢を笑われたり、挑戦を阻まれたりした人がいたら、その夢をどうやったら現実にできるか一緒に考えられる大人になりたい。
それがダメ人間の目標です。
 
 
そこまでの道のりはただただ果てし無く遠く、今はまだまだ道の途中です。
どうやったらこの先に進めるか。今もその事で頭の中がいっぱいです。
 
 
好きな人ができました。好きな時間もできました。
その全てを投げうって、また新しい作品を作ろうとしています。
投げうたないとそのうち好きな人、好きな時間の元に逃げ帰ってしまいそうだから。
自信が無いから。だから少しの間1人になろうとしています。
 
 
そんなボクに「大丈夫待ってるから。」とボクの自分勝手な行動にすら優しい言葉をくれ、応援いてくれる人たちのことがさらに好きになりました。
優しい言葉に涙が止まりませんでした。
 
 
逃げてしまわないように1人になろうとしていたのに、逆に1人じゃ無いと言うことに気づくことができました。
「作品ができたよ」って誇らしく報告するために、そして何よりその優しさに恩返しできるように。ダメ人間の夢が1つ増えました。
 
 
もし人のために何かできたなら、その時ボクはダメ人間から普通の人間になれそうな気がします。
しんどいけど、辛いけど、まだこれからもガラスに向かい続けたいと思います。
出来上がった作品を見せ続けたいと思います。夢を追い続けたいと思います。
幸運なことにまだボクはその挑戦権を持ち続けています。それは本当にいろんな人のおかげだと思っています。
2021年のはじめにそのことを改めて胸に刻んで。
 
皆さんのことがだいすきです。

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