みなさんこんにちは。
ビジュアル系ガラス作家の高木基栄です。
先日のオーダーメイドの話に関連して今回はガラスのリフォーム(お直し)のお話。
関連記事:1点から注文可。オーダーメイドのグラス制作工程とその流れ
グラスを直す
ある日、「安くてイイ雰囲気のグラス手に入れたけど、このぐらつきって直せる〜??」と知り合いの方からお問い合わせ。
出てきたのは、もう接地面がどこかわからないくらい底がグラグラするグラスが2個。
底のぐらつきを直すくらいのことは訳ないので、さっそく工房に持ち帰ってリフォームの開始です。
グラスがぐらつくのは底が平らではないから。ということでグラスの底を平らに削って、さらに削った部分をピカピカに磨いていきます。
底を平に削る
平盤と呼ばれるこの機械。
この鉄の円盤が回転して、上に研磨用の砂と水を流しながらその上にガラスを置いて円の中心から外側、外側から中心に往復させると、ガラスが平らに削れていきます。
研磨用の砂も粒が粗いものから細かいものまであるので、粗い砂からだんだんと細かいものまで。だいたい3段階くらいに分けて削っていきます。
削ったグラスはこんなカンジに。
白っぽくなっているところが平盤で削ったところです。
この状態でぐらつきななくなり、使用するには全く問題ないのですが、
このままだとグラスの底が白いままなので、ガラスらしい透明感を出すために次はこの白っぽくなった部分をピカピカに磨いていきます。
ガラスを磨くその1
平盤の次に使うのはこんな機械。
パルパーと呼ばれる研磨剤が練りこまれた特殊なウレタン素材でできた円盤です。縦に回転するこの機械にパミスと呼ばれる軽石の粉を付けながら磨いていきます。
磨き上がるとこんなカンジ。
さっきまであった白っぽい部分が磨き上がってかなりツヤが出ています。
ガラスを磨く2
さらに仕上げ。
パルパーでの研磨が終わった後は最終仕上げ。さらにピカピカにしていきます。
さっきの作業に使った機械とよく似た機械ですが、こちらは木の円盤の表面に長細いフェルトの帯が巻いてあります。
このフェルトに<酸化セリウム>という研磨材を水に溶いて着けながらグラスをピカピカに磨いていきます。
余談ですがこの酸化セリウム、ちょっと前に話題になったレアアースの一種で価格がグイグイ上がっていて作家泣かせの研磨剤です。。。
で、完成◎
磨き終わるとこんなカンジに仕上がります。(画像ではパルパーでの仕上げとの差がわかりづらいですね。。。)
ここまでちゃんと丁寧に磨くと自分の姿が映り込むくらいにピカピカ、ツルツルです(^^)
作品を作って〜 というお願いも嬉しいのですが、今回のようにちょっと直してさらに使いやすくしたい というお願いもガラスを大切にしてもらっていてガラス作家としては嬉しいお話です◎
ちょっとくらいの欠け程度なら意外とまだ使えます◎
大した欠けじゃないけれど、口をつけるにはちょっとあぶないかな〜なんてグラスや、古いアンティークのグラスをキレイにする なんてこともできますので、
ちょっと気になるところがある、でも気に入っていて諦められない。
そんなガラス製品がありましたら、ぜひ一度ご相談ください。
物がたくさんあって安価で手に入っちゃう今のご時世、下手したら直したほうが高くつく なんてこともしばしば。
でも、もし思い入れのあるグラスが直せたなら、グラスだけじゃなく、思い出も蘇りますよね◎
物を大事にするということについて改めて考えさせられた、イイお仕事でした(^^)
おしまいっ
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