助成事業にひとこと言ったった!

困った話

みなさんこんにちは。

ビジュアル系ガラス作家の高木基栄です。

 

 

先日、電話取材を受けた記事が11月11日の北陸中日新聞に掲載されました。

取材の内容は「いしかわ県民文化振興基金の中でも新たに始まった若手芸術家活動支援事業の募集要項とその対象者条件について」

 

県全域を対象として活動を行う文化団体に所属する概ね40歳未満の若手芸術家が、自らの創作活動を一般県民に公開・発表する事業(所属する文化団体から推薦のある者に限る)

引用:石川県ホームページより

 

 

 

 

いらん。いらんよ、そんなもん。

いや、いらんと言ったら語弊があるけど、もらったらダメなやつだと思う。

 

 

 

この助成は文化団体から所属する若手支援を求める声が出たためこの事業を新設したそうな。

ちなみに電話での取材の際にはいろいろ思うことを話させてもらい、実際に記事には「団体の既得権益を守るための支援なのではないか」「助成金があると、甘やかしにしかならない。中途半端な助成だったら無い方がまし」と電話でお話した時に答えた考えを全くねじ曲げられることなく載せてもらいました。

WEB版の記事もコチラに出てます◎

 

 

で、ここからはこのことについて個人的に思うことを。

この助成いろいろヤバくない??

この助成金は若手が美術個展や演奏会などを開く際の会場使用料、作品運搬料等が対象で、最大で事業費の3分の2、最大で20万円まで。
支援対象は県内の文化団体に所属する概ね40歳未満の若手芸術家である

 

 

こんな条件を設定したら間違いなく、「多くの若手はまだ団体にも所属してないんだよ!」とか、「自分のやってる分野に団体自体が少ないよ!」なんて声が揚がると思う。

 

この助成事業が文化団体が所属の若手支援を求めて出来た という経緯を考えれば、団体所属が条件なのは頷ける。

 

団体のトップ、いわゆるセンセーと呼ばれる人は自分のところの団体のカワイイカワイイ若手のために、助成事業を立ち上げろと県に要請もするでしょう。

自分のところの若手のところに助成が来れば、きっと回り回ってセンセーのためにもなるから。

 

 

作家の現状を理解せず、団体の言うことを鵜呑みにして助成事業を県が立ち上げたということは言うまでもなく大問題。

しかもお金はちゃんと出すもんだから、対外的にはウチは県内の若手作家への支援もちゃんとしてます!としたり顔もできる。

 

助成金出した作家がそのお金を使ってどんな作品を作り、どんな展示空間を作り上げ、どれだけの成果を挙げたのかまで理解してますか?と県に言いたい。

自分の子供にご飯代と称してお金を渡すだけ渡してあとは無関心。自身は遊び呆けて育児放棄してる親と何か違いがあるのか。ボクには同じに見える。

さらにヤバい人たち

もっと問題なのは「団体に所属せずにフリーでやってる人間はどうなるの!?ズルい!!」という作家の言い分。

おなじ記事にも「芸術家はボクも含めフリーも多い。フリーも対象にするべきでは」という現代アーティスト(35)の意見も。

 

 

大丈夫かよ現代アーティスト(35)。。。

枝葉末節にとらわれすぎて全然本質から話がそれちゃってる気がします。目の前の木の葉っぱがお札だったらそれもしかたないのか。。。

 

 

そんな助成あるならオレも欲しい〜 じゃなくて、この助成事業自体に疑問を持つのが普通じゃないんだろうか。

 

 

話はちょっと変わりますが、日々制作をして作品を創出するという行為はけっこうなエネルギーを要します。肉体的にも精神的にも。

ボクは原動力に怒りや憤りっていうのは必要不可欠なものだと思っていて、金銭的に貧しいというのもその原動力のうちの1つ。いわゆるハングリー精神ってやつです。

 

貧乏がイヤで、そこから上がるためにはどうすればいいか必死に考え必死に動く。
その時の熱量がエネルギーになって制作に生かされていく。

これはエネルギーの生み出し方の一つの方法としてはけっこう効率的な自家発電の方法だとボクは思ってます。(他にもモテたくて必死にがんばるとか、見返したくて とか。)

 

その大事な制作のための自家発電のきっかけを助成事業なんかに持っていかれるのってすごくつまらないしもったいないと思うんですね。

数万円の助成金と引き換えに無限の可能性を生み出すきっかけを手放す危うさと、得られる助成金に対してのコスパの悪さをきっとこの人は気づいていない。

助成って何

この助成事業についてなんかモヤモヤ、イライラするのはお金出すことが助成っていう県側の理解のなさ。

もちろんお金はすごく大事だけど、それだけで本当にいいの??

県にせよ市にせよ、今まで目にしたり聞いた助成事業の中で納得できるようなものはまずほとんど無い。

 

 

県や市は若い作家に定住してもらえるようあの手この手をいろいろ考えているみたいですが、お金だけ渡してボクらがやってることに興味がないようじゃ定住なんてありえ無いですよね。

助成金だけ持ってかれてあとはサヨナラです。

 

自分の好きな異性に、「あなたのことが好きだからお金あげます!これで好きなもの買ってください!」なんて言ったって絶対上手くいかないでしょ。。。

 

相手のことを想ってプレゼントを考え、選ぶ時間も含めてプレゼントっていうのがどうにもわかってないみたいで、その考え方の相手を好きな異性ではなく、若手芸術家に置き換えたらこの助成事業が間違っていることくらいはすぐにわかるはずなんですけどね。。。

 

ものごとって意外とシンプルなはずなんですが上手くいかんもんですね。

どうやってこの社会で生きながら世の中と闘っていかなきゃいけないのかいろいろ考えさせられます。。。

 

最後にこの記事の取材を受けて、記事にしてもらうにあたって、けっこう思った事を歯に絹着せずに言ってしまいましたが、ボクの思った事をマイルドに加工したりなんかせず、そのままの意図で掲載してくださった北陸中日新聞さんにはホントに感謝しております。ありがとうございました!!

 

おしまいっ

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