こんにちは。ビジュアル系ガラス作家の高木基栄です。
もう世間ではお盆休みも終わり、また暑い夏と格闘しながらの毎日ですね(^^;;)
7月末〜お盆休み中はガラス工房も火を消し、THE夏休みムード。
ガラスが吹けないからといってボクも作業を止めて夏休みをエンジョイしてた という訳ではなく、ガラスを溶かしている溶解炉のメンテナンスという、作品制作と同じくらい(それ以上?)に大事な作業をしてました。
いつもは作品やら制作途中の紹介だったりガラスの話がメインだったりするので、今回はガラスと溶かすための裏側、こんなふうになってますよ〜的なお話です。
年に2回の大仕事
普段ガラスの溶解炉は基本的に24時間ず〜っと火がつきっぱなし。
1000℃以上の高温で保たれてます。
当然、半年以上も24時間ずっと高温を保ち続けた溶解炉はいろんなところが痛んでます(;ー;)
なので年に2回、その痛んだ箇所を補修するメンテナンスをする時期がだいたい8月と1月。
酷暑と極寒、両極端の時季に行います。本当は春と秋とかがイイ。。。
普段こんなカンジでガラスを溶かしているこの溶解炉。
だいたい1290℃くらいのこの中は。。。
こう。
(写真はガラスが溶けて入っていた容器を取り出した後。)
床、ガラスまみれ。
この緑色なのが全部ガラス。
ガラスをこのままにしてほっとくとどんどんレンガが侵食されちゃってけっこうヤバいことになっちゃうので可能な限り削らないといけません。
このガラスを削り取る、発掘作業がメンテナンスの7割くらいの大変さを占めるしんどいしんどい作業。
ここ8年くらいは、毎年夏は工事現場の人みたいな機械を使って汗まみれ、粉まみれで床のガラスをひたすら削ってます。
こんなカンジに
※レンガが熱を持っていて中はだいたい4〜50℃くらい
※背中に小さい扇風機がついてるヤツで多少暑さを軽減。
でがんばって削った後がこう!
今年もちゃんとやったよ!
「オレ、がんばったよ!」っていうのをここぞとばかりに見せたいから、画像フルサイズでアップ。
オマケで床に溜まっていた緑のガラスは大きめの欠片は箱に入れてキープ◎
床に溜まったガラスは、もともと透明だったガラスに不純物が溶け込んでキレイな緑色に◎
個人的にコレのことは世界一キレイなゴミと呼んでます✨
箱いっぱい分キープしてるので、コレを使って何を作ろうか考え中♨️
タダでこんなキレイな材料が手に入るなんてありがたい。。。
暑い中頑張ってよかった(T^T)
基本大変なのは最初だけ
床さえ削ればコッチのもんで、残りの作業は大したことやってないです。
というか、暑い中床のガラスを削るのが大変すぎ&大変な作業を長いことやってるとなんだか情が湧いてくる ので残りの仕事は苦じゃないんです。
いきなり高〜いハードル越えさせられるので感覚がバカになってるのかも。。。
普段高温でオレンジ色に発行してて写真に撮ってもわかりづらいんですが、基本的にガラスってこういう陶器のルツボ(これはオープンポットと呼ばれるタイプ。)の中で溶かしてます。
メンテナンス完了。
毎回思うけど一通りキレイになった溶解炉は白くてなんだか神々しい。。。✨
作品制作よりも作品を作る環境作りの方が大変
当然のことですが社会に出ると制作のために必要なことも全部自分でやらないといけません。
実はコッチの方が作品制作よりも5倍も10倍も大事。
学校ではそんなこと習わなかったよ。。。っていろいろ下準備してもらってたんだなぁと後から気がつきました。
ブログに書いてみて改めて実感。
なんか一人暮らしを初めてすぐに、実家ではなにもしなくてもご飯が出てきていた日々のありがたみを知ったときの感覚に似てますね。
ただ、自分で大変な思いをして設備のメンテナンスをしていると、普段の使い方も少し丁寧というか大事に使うようになりました。
で、またその気持ちが薄れてくる頃にメンテナンス。
気持ち的にも割とちょうどいいスパン。
メンテナンスも終わり、無事ガラスも溶けてよかったなぁと安心した途端に容赦なく押し寄せてくる締め切りに追いかけられつつ制作に戻ります💦
おしまいっ
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